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補助金

空調補助金で不採択となるNG申請例とその回避術

空調補助金が通らないNGパターンや施工・運用計画と来年度予算取りのポイントなどを解説。

空調補助金が通らない“あるある”NGパターン

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日本は、2050年のカーボンニュートラル実現と、2030年度までに温室効果ガスを2013年度比で46%削減するという目標を掲げています。

これに向けて、国や自治体では、脱炭素や省エネにつながる業務用空調設備の導入を支援するさまざまな補助金制度を設けています。

補助金を申請する際は、空調設備の導入によってどの程度のCO₂排出量が削減できるか、といった根拠を記載した書類を提出し、それに基づいて審査が行われます。
そのため、記載内容の正確さはもちろん、必要書類の不備がないことも極めて重要です。

実際には、書類の記載ミスや根拠の不足などによって、せっかく申請しても採択されないケースも少なくありません。
ここでは、特に注意したい不採択の代表的な例と、その回避策をご紹介します。

省エネ計算の根拠不足

補助金は、エネルギー消費量の削減が見込まれることを前提に交付されるものです。そのため、省エネ計算にミスがあったり、内容が不十分だったりすると、補助金の申請が通らないことがあります。
客観性の求められる申請書類には、根拠に基づいた正確な記述が求められます。

既設設備との性能比較が不十分

補助金を受けるには、現状よりもエネルギー消費量を削減できることを示す必要があります。
設備を更新して申請する場合は、現在使用している設備とのエネルギー消費量を比較し、省エネ効果を明確にすることが求められます。

既存設備の性能が高ければ、更新の効果が小さいと判断され、補助金が受けられないこともあります。
導入によってどれだけ省エネになるかを、具体的に示すことが大切です。

工程表が曖昧

空調補助金の申請には、空調設備の設置スケジュールに関する記載も求められます。 工程表の内容が曖昧で抽象的だと、実現性に欠けると判断されるおそれがあります。

発注者・設計者・施工者の間で情報を共有し、納入から設置、試運転まで含めた具体的な工程表を作成することが重要です。

アフターサービス体制の欠如

空調設備導入後のアフターサービス体制も、審査のポイントとなります。
定期点検の実施や担当部署の明確化、遠隔監視の体制など、導入後の管理体制を整備しておくことが重要です。


また、補助金事業によっては、設備の稼働状況や管理状況、CO₂排出削減量の確認のため、現地調査を受けることもあります。そのような場合に備えるためにもアフターサービス体制の構築が欠かせません。

補助金制度では、書類の不備や内容の不足を理由に申請が通らず、やり直すことになるケースもあります。補助金の申請が決まった段階で早めに準備を始め、NG要素を洗い出し、確実に一度の申請で補助金を受けられる土台作りをしていきましょう。

技術仕様と計算書で減点されないコツ

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空調補助金の申請では、COP(消費電力1kWあたりの冷暖房能力)やAPF(1年を通した空調の省エネ性能)などの指標の算定方法や、空調の負荷計算の条件などを明示する必要があります。それらにミスがあると補助金は受けられません。

例えば、COPは、「冷(暖)房能力(kW)÷ 冷(暖)房消費電力(kW)」で算出され、1kWの電力でどれだけの能力が得られるかを示す指標です。
また、APFは、「年間の冷暖房負荷の総和(kWh)÷ 期間消費電力量(kWh)」で求められ、年間を通じた空調の省エネ性能を示します。

これらの計算に用いる冷暖房能力や消費電力の数値には、客観的なデータが必要になります。


メーカーのカタログに基づいて性能を記載する場合も、どの機種を使用するのか、どんな使用条件下の数値であるかを明確に記載する必要があります。

空調の負荷計算は、部屋の用途、人数、外気温、換気能力などを加味し、正確に行います。また、既存設備から新設備への更新時の申請では、更新前後の設備の年間使用電力量やCOP、APFを並記し、省エネ効果を裏付ける根拠資料を整えることが重要です。

さらに、省エネ計算では電気や熱などのエネルギー消費量を熱量(MJ)に換算して算出します。特に電気については、単なる使用電力量ではなく、発電や送電時のロスを含んだ「一次エネルギー」への換算が必要です。その際には、定められた一次エネルギー換算係数を使用します。換算係数の根拠は、補助金公募要領にあらかじめ換算係数の記載がある場合は引用し、記載がない場合は引用元を明記することで説得力のある書類づくりを心掛けます。

施工・運用計画と来年度予算取りのポイント

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空調補助金の審査では、「施工・運用計画の実現性」もチェックされます。たとえ高性能な設備を導入しても、施工や運用の計画が曖昧な場合には、実現性に乏しいと判断され、減点や不採択となる可能性が高まります。

 

一方で機器納入から設置、試運転まで含めた工程表や、保守計画、遠隔監視まで含めた長期的な運用計画を明記することで、審査における加点が期待できます。空調設備に関する補助金は、多くの場合、毎年継続して実施されているため、たとえ今年度の募集が終了していたとしても、次年度に備えて早い段階で空調負荷の計算などの事前準備を進めておくことが有効です。

 

また、国では「省エネ診断」として、エネルギーの専門家を事業所へ派遣し、エネルギーの無駄や省エネ改善、設備更新の提案などを行うサービスを実施しています。省エネや光熱費を削減したいが、何から始めればよいか分からないという場合にも、まずは省エネ診断を受けてみると、その後に取り組むべき事が明確になります。

 

※参考:令和7年度SHIFT事業

https://www.gaj.or.jp/eie/shift/

 

この省エネ診断は、国が実施するものでは内容に応じて費用が発生しますが、自治体によっては無料で提供されているケースもあります。こうした制度を積極的に活用することで、効率的な準備と運用につながります。

 

補助金を取得するには、申請前の準備段階が非常に重要です。次年度の補助金を確実に取得するためには、年度内に申請の準備を完了させる意識で早めに取り組むことが成功のカギとなります。

事前相談と共同申請で採択率を高める方法

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補助金申請にあたって意外と見落とされがちなのが、国や自治体の担当窓口への事前相談です。あらかじめ相談を行うことで、書類の書き方や必要なデータ、申請フローなどの疑問点を早めに解消でき、申請手続きを円滑に進めることができます。

空調の補助金申請においては、設計計画を立てる設計会社や、実際に機器を設置する施工会社が連携し、共同で申請することが大切です。負荷計算・省エネ設計の根拠を提示する設計会社と、工期・施工体制・運用管理体制を提示する施工会社が協力することで、お互いの専門性を生かした説得力のある書類作成につながります。


書類作成にあたっては、補助金申請チームの内部で「設計・申請・資料作成・窓口対応」などの役割分担を明確にし、社内外での連携体制を可視化することが重要です。

上記のような準備を踏まえて、申請要件を満たす空調設備を選定することが、補助金申請成功のポイントです。

日本キヤリアの製品をご紹介

日本キヤリアでは、補助金要件を満たす空調設備を豊富に取り揃えています。

例えば空冷ヒートポンプ式熱源機USXシリーズは、R32冷媒対応のインバーター・DCロータリーコンプレッサーを搭載し大容量を実現しました。特にUSX FIT®については、コンパクトサイズで限られた狭小スペースにも設置可能です。

 

お客様の課題や目的に応じた最適な機器選定をご支援しています。ぜひお気軽にお問い合わせください。