自社の現場の「使い方」を確認する
空調設備を選ぶ前に、まず「自社の現場をどう使っているか」を整理することが重要です。同じ工場・倉庫でも、現場の構造・稼働状況・管理の考え方によって、最適な空調のアプローチが異なります。
以下の2つの問いを起点に考えてみてください。
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「暑さが気になる場所は、特定のエリア
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ライン
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作業者周辺に限られているか?
それとも施設全体が暑いか?」
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「空調の運転を、エリアごと
・
時間帯ごとに細かく調整したいか?
それとも施設全体を一定の環境に保ちたいか?」
この
2
つの問いに対する答えが、空調選びの分岐点になります。
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アプローチ
A
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アプローチ
B
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キーワード
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細かくコントロールする
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施設全体を改善する
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暑さの範囲
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特定エリア・ライン・スポット
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施設全体・広い空間
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運用の考え方
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エリア・時間・人に合わせて個別制御
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空間全体を一定の環境にキープ
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設置の考え方
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必要な場所に後付け・柔軟に追加
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設備として組み込み・省工事で導入
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対応する空調
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スポット・ゾーン空調
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全体空調
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アプローチA:細かくコントロールする — スポット・ゾーン空調
このアプローチが向いている現場の課題
以下のような状況が当てはまる現場には、アプローチAが有効です。
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製造ライン・特定の作業エリアだけが暑く、他の場所は問題ない
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天井クレーンや大型設備があり、大掛かりな設備の設置が難しい
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稼働を止めずに、できるだけ早く設置・対応したい
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移動式(可動式)スポットクーラーを使っているが、周囲温度が改善されず
WBGT
が下がらない
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人がいる場所・時間帯だけ運転して、電力コストを抑えたい
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工場内の採光(自然光)を確保したまま空調を入れたい
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将来的にレイアウト変更があっても、空調を移設・追加できるようにしたい
なぜ一般的なスポットクーラーでは不十分なのか
「特定エリアだけ暑い」という課題に対して、まず移動式(可動式)スポットクーラーを使う事業者の方は多くいらっしゃいます。しかし、一般的なスポットクーラーは排熱を室内に戻す構造のため、使い方を誤ると周囲温度やWBGTをかえって悪化させることがあります。
冷風が当たる人は涼しくなっても、排熱が室内にこもることで周囲の環境は改善されない——これは義務化対応の観点からも「対策をしている」とみなされないケースがあります。
- スポットクーラーの排熱ダクトを室内に向けたまま使用している
- 工場扇のみ で対応しているが、WBGTの測定・記録をしていない
- スポットクーラーを設置しているが、周囲のWBGT値が改善されていない
アプローチAの解決策:スポット〜ゾーンまで、細かく制御する
アプローチAの本質は、「必要な場所に、必要な分だけ、必要なときだけ冷やす」という考え方です。具体的には以下の特長 を持つ空調設備が有効です。
- ダクト配管が不要で、既存の柱・デッドスペースを活用して設置できる
- 室外機で排熱するため、周囲温度を上げずに空間全体のWBGT低減に貢献 できる
- 室内ユニット1台ごとに個別運転制御が可能で、不在エリアは停止できる
- スポット(1点集中)からゾーン(複数台でエリア全体をカバー)まで柔軟に設計できる
- 稼働中の現場への設置・レイアウト変更への追加対応が可能
このアプローチに対応した設備として、スポット・ゾーン空調システム「FLEXAIR(R)」があります。天井クレーンのある工場やデッドスペースへの設置にも対応した軽量・コンパクト設計で、様々な環境での導入実績があります。
アプローチB:施設全体を改善する — 全体空調
このアプローチが向いている現場の課題
以下のような状況が当てはまる現場には、アプローチBが有効です。
- 施設全体・広い空間 の温度・WBGTを継続的に下げたい
- 工場内に室内機や機械室を設置するスペースが確保できない
- 空調の細かい制御より、空間全体を一定の環境にキープしたい
- オイルミスト(切削油)や酸性雰囲気が漂う特殊環境の工場である
- 食品工場・精密機械工場など、低温帯(10〜25℃)での温度管理が必要
- 体育館・農業施設・病院など、工場以外の施設にも対応した設備が必要
- 24時間稼働しており、施設内に入らずメンテナンスを完結させたい
- 設置工事を最小限に抑えつつ、しっかりした設備として導入したい
アプローチBの解決策:省スペース・省工事で、空間全体の環境を整える
アプローチBの本質は、「手間をかけずに、空間全体の環境を整え、維持する」という考え方です。具体的には以下の特長 を持つ空調設備が有効です。
- 室内・室外ユニットが一体形であり、室内に機械室が不要でスペースを有効活用できるもの
- 冷媒配管工事が不要であり、ダクト工事と電源工事のみで設置できるもの(省工事・短工期・省コスト)
- 設置面積が小さく、屋根上・デッドスペースへの設置が可能なもの
- 24時間稼働中でも屋外でメンテナンスが完結し、施設内の作業・利用者に影響を与えないもの
- 外気処理仕様(オイルミスト・酸性雰囲気対応)・中温仕様(低温帯管理)など特殊環境にも対応できるもの
このアプローチに対応した設備として、空冷式一体形パッケージエアコン「シングルエースu(TM)」があります。8〜30馬力の豊富なラインアップ(標準・外気処理・中温の3仕様)から、現場の規模・環境条件に合わせた選定が可能です。体育館・農業施設・病院など工場以外の施設への導入実績 もあります。
自社の現場はどちらが適しているのか ? — 判断のためのチェックリスト
2つのアプローチを踏まえて、「自分の現場はどちらか」を判断するための軸を整理します。どちらか一方が「正解」というわけではなく、現場の実態に合った選択をすることが重要
です。
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判断軸
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アプローチ
A
(細かくコントロール)
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アプローチ
B
(施設全体を改善する)
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対応
範囲
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特定エリア・ライン・スポット
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施設全体・広い
空間
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制御の
細かさ
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エリア・時間・人ごとに個別制御したい
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全体を
まとめて改善したい
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設置の制約
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稼働
前提
・天井クレーン
有
・後付け
したい
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室内スペース
の余剰なし
・工事最小
化
が必要
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特殊環境
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屋外・高温・汚れ環境
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オイルミスト・低温管理・特殊仕様が必要
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メンテナンス
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エリアごとに柔軟に対応
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屋外完結・施設内立入不要
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空調の最適解
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FLEXAIR®
(スポット・ゾーン空調)
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シングルエースu™
(全体空調)
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なお、「どちらか迷う」「両方の課題がある」という場合は、現場の状況を整理した上でご相談ください。現場条件をお聞きした上で、最適な空調ソリューションをご提案します。
まとめ
工場・倉庫の暑熱対策における空調選びは、「どの製品が良いか」より先に「自社の現場を現状どう使っているのか、今後どのように管理したいか」を整理することが出発点です。